次の瞬間、
ふいに周囲の空気が歪んだかと思うと、閃光が駆け抜け、スパーダは思わず目を覆った。


その傷ではこの先心許無かろう。
我らを使え、スパーダ。



目を開けると、二振りの剣が大地に突き立っていた。
近づき引き抜くと、剣の魔力が流れ込んでくる感覚があった。流れ出すばかりだった血は徐々に収まり、スパーダは身体の傷が癒されていくのを感じた。
これなら、先に進むことができる。
スパーダは感謝の辞を述べると、形状も性質も異なった二振りを観察した。

一振りは抜き身の、諸刃の大剣。肉厚な鋼の刀身は、爆発的な破壊力を秘めているのが見て取れた。
もう一振りは、鞘に収まった細身の剣で、美しい意匠が施されている。
鞘を払うと、磨き上げられた片刃が鈍色の輝きを放った。片割れほどの破壊力は期待できないが、切れ味と手数においては数段上を行くであろう。


姿は全く異なれど、同じ形の魂を持つ、二振りの剣。

双子の剣。




「良い剣だ」


スパーダは心からの賞賛を送った。
しかし片刃の剣の柄を外すと、その[なかご]には、何の銘も刻まれていなかった。


「そういえば、名を聞いていなかったな」

・・・我らに名など無い。汝の好きにつけるがいい。


声の答えに、彼は考え込むように目を伏せると、


「・・・ならば、
諸刃の剣にRebellion、
そして、片刃の剣には閻魔刀、と」





「反逆」と、
闇を切り裂き、喰らい尽くす冥界の王の名。
今の自分が携えるに相応しい名であろう。





我らを振るい、その身に馴染ませるとよいと思ったが、どうやらその時間はなさそうだな。


見渡せば、周囲は既にかつての同胞達によって取り囲まれていた。
皆、誰が最初にこの手負いの裏切り者に喰らいつくか、その時機を窺っている。


手始めに彼らを斬り、その感覚を以て、
我らが力、汝のものとなせ。



魔帝を討つ。
心を決めたのはいつだったろう。



「つくづく、お互い正気ではないな」


スパーダは苦笑し、双子の剣と共に駆け出した。















































光の先へ。




























































以前ブログに書いていたパパン妄想をほとんどそのままぶちまけました。
書いているうちに当初の予定から少々かけ離れてしまったあたり私の計画性の無さが窺い知れます。
若い頃のパパンの第一人称は自分は断然「俺」希望です。
人界で生活するうちにいつしか「私」にカ ワ ル ン ダ!!(落ち着け)

ところでこれを書くにあたり日本刀について少し調べたりしたんですが、刃の形にしても鐔にしても色々あるもんですねえ。いやあ奥が深いです。ときめき。

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2006年4月3日改訂。計画性皆無。



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