<後日談>

翌日、リリティアは少し遅れて授業を行う広場に現れた。

「珍しいなアヴリル、遅刻なんて」
「少し、寝坊してしまいました」

そう言って笑う。
昨日より幾分顔色がよくなったように見える。寝坊するほどよく眠れたようだ。

席につくと、不意に目が合った。何となく気まずい空気が流れる。
どんな言葉をかけようかと、あれこれ考えをめぐらせているうちに、先に話を切り出したのはリリティアだった。

「あ、あの、…昨晩は、どうもありがとうございました」
「いえ…」

いつもと違う、ぎこちない会話を、ディーンとレベッカが不審そうな顔で見守っている。
弱っていたとはいえ、昨晩の互いの行動は思い出すだけで色々と恥ずかしくなってくる。リリティアも同じなのだろう、白い頬を朱に染めながら、それきり押し黙ってしまった。
その時。

「え、それってひょっとして…!」

レベッカが突然大声を上げた。
そこまで叫んで、真っ赤になって黙り込む。

奇妙な反応。
何か引っかかるものを感じ、私は先程のやり取りをもう一度思い起こしてみた。
…。
……。
………ちょっと待て今とんでもない誤解をされたのではないか。

「えーなんだよレベッカ?俺にはさっぱりだぜ」
「ディ、ディーンは分かんなくていいのッ!…そっか、アヴリルが寝坊なんて珍しいと思った。アヴリル、おめでとうッ!」
「…?ええと、ありがとうございます」
「違…ッ!!」
「ヴォルスング、その…ちゃんと責任取りなさいよッ!」
「だから誤解だッ!!!」


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